これが、本場のカマクラだ!温泉の町、湯西川でカマクラを作ってきた。

2014.1.20 12:00 

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かまくらを作ったことはありますか?スコップで、雪山をつくって、穴を掘っていくあれです。雪国に住んでいるなら、作ったことはなくても、見たことはあるという人は、多いのではないでしょうか。

栃木県日光市にある湯西川では、毎年冬になると、かまくら祭りとして、たくさんの大きなかまくらを作り、温泉に浸かりにきた人々を楽しませています。このイベントも2014年で21回目。作り方も、かまくら職人たちによって、年々改良されてきました。今回は筆者が、そんな、本場のかまくら作りにボランティアとして参加し、見てきた生の現場をレポートします。
 

朝の8時、製作現場につくと、まず目に入ってきたのは、高さ3メートルはある、かまくらの集団。すでに、8つほど作られていました。そこに、並ぶようにしてあったのは、木のパネルを並べて、円筒形に立てられた型枠。そのそばには、巨大な重機が置かれています。

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しばらくして、集まってきたのは、10人ほどの人々。旅館組合の代表と、ボランティアのメンバーたちです。ちょうど久しぶりの雪が降ってきて、あたりは銀世界に。さっそく、作業を始めます。はしごを、型枠に立てかけ、全員で中へ。

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はしごを昇って、型枠の中に入る。

 

型枠の中は、二つの壁に挾まれていました。パネルの間隔は、およそ80cm。一回り小さく作られた、内側のパネルの筒は、部屋になるスペースです。筒の上には、天板が載せられこの中に、雪が入らないようになっていました。

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この八角形のパネルの下が、部屋になる。

 
内と外のパネルをつなぐのは、四角い大きな箱。これは出入り口になるのです。

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雪を固める

壁の中に重機で積まれた雪を、リーダの掛け声で、いっせいにスコップを使って砕いていきます。氷や汚れのついた雪は取り除き、純粋な雪を使うようにします。そして、足踏みを。スコップで砕く、踏み固める、雪を足すという作業を、ひたすら、繰り返します。

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雪を細かく砕き、ひたすら踏み固めていく。

 

使うのは、パウダースノー

職人の経験によると、かまくらに使うのは、パウダースノーがいいということ。湿った雪や水を使ったほうが、固まりやすいと思っていた筆者には、驚きでした。水をまくと、しみこんだ部分だけが、氷になります。氷は雪とくっつかないため、全体がまとまって、一つのものにならないのです。パウダースノーのきれいな結晶が、一つ一つ結びつき、粘りのある強い壁を作り出すのですね。
 

雪を固める作業はかなり疲れるもの。時々、休憩をしては、話に花を咲かせます。

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彼は、湯西川で旅館を営んでいる。面白い話を、いろいろ聞かせてくれた。

 

屋根を作る

作業を始めて2時間。2m50cmほどの高さの型枠が、雪でいっぱいになりました。

ここからが、熟練者の腕が光るところ。この上に、丸くドーム屋根を作っていきます。枠のふちに、よく砕いて細かくした雪を積み、踏み固め、徐々に内側に固めていきます。きれいな形になるように、スコップの背でならしながら、中心が一番高くなるようにしていきました。

しだいに、作業スペースは減ってきます。はじめ10人いたメンバーは、2人、そして、最後は1人になりました。最後の人は中心をきれいに仕上げて降りてきます。

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はじめは10人で作業をしていたが、最後は1人で完成させる。

 
型枠の上に、ドーム型に雪がこんもりとした様子は、まるでマフィンのよう。ここまで、3時間ほどかかりました。

あとは、1~2日程度、雪自体の重さで全体が締まるのを待ち、型枠をはずすと、見覚えのあるあの形になるのです。

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中は、4人くらい、座れる広さ。祭りのときは、ここに畳をしき、火を囲んでバーベキューをします。厚さ80cmはある分厚い雪の壁なら、そう簡単には溶けません。壁には、キャンドルをおく、棚がもうけられています。

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中は4人が座れるほどの広さ。風の強い日でも、暖かい。

 
簡単そうに見えましたが、やってみるととても大変。重労働です。でも完成したときの、達成感は大きいですね。良い体験になりました。

このかまくらが、映えるのは夜。湯西川の夜景は、日本夜景遺産認定もされているほどなので、ここにキャンドルを灯したら、じつに、きれいなのでしょう。

イベントは、1月25日(土)から3月9日(日)までやっているとのこと。
都心からのアクセスも比較的楽な場所ですので、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?キャンドルを灯すだけのミニカマクラも、製作ボランティアを募っているとのことなので、かまくら作りを体験してみたいという人は、ぜひ行ってみてください。
筆者が製作を手伝ったかまくらも、見ることができますよ。

教えてくれたのは、 かまくら祭り実行委員会

平家落人の村として、知られる湯西川で、15の温泉旅館が、冬場の観光客を呼び込もうと、21年前からはじめた、かまくら祭り。日本夜景遺産認定もされ、今では、10万人が訪れる、イベントになりました。詳しくは、公式サイト ゆらり湯の路をごらんください。

    

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