昔の豆味噌をつくってみた
ふつう味噌は大豆と麹と塩で作られます。
その麹の原料としては米、大麦、大豆が一般的で、その材料によって「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」などと呼ばれます。我が家ではいつも自家栽培した大豆と、手作りの米麹を使って味噌を仕込みますが、一度作ってみたかったのが「豆味噌」。でも、この豆味噌は「豆麹」を使った味噌ではなくて、麹を使わずに煮た大豆と塩と水だけで仕込む伝統的な味噌。
田舎暮らしを始める時によく読んだ本に、『日本の食生活全集・聞き書き◯◯の食事』シリーズ(農文教)があります。これは全都道府県ごとに1冊ずつ、昔の食生活を古老から聞き取ってまとめたもので、その青森県の集の中にこのような記述があります。
ここでは「玉味噌」と呼ばれていますが、この製法は恐らくどの地方にもあったと思われ、豆だけで仕込む事からこのブログでは「豆味噌」と呼ぶことにします。
さて、上記の文献を参考に実際に作ってみました。
まず、洗って一晩水に浸け、軟らかく煮た大豆をよく潰します。
この時、ふつうは潰しやすいように適度に豆の煮汁を加えて軟らかくするのですが、この度は普段よりは固めにします。
潰した大豆をひとまとめにして団子を作ります。
分銅の形に」と書いてあるのでこんな形にしてみました。この状態をもって「玉味噌」と呼ぶ様です。
これをワラで十字に縛って軒下に吊るすとあるのですが、みかんのネットで代用することにしてしばらく軒下に吊るして放置。
春の彼岸の頃に玉味噌をつくり、それを「五月上旬田植えに入る前に、味噌の仕込みにかかる」とあります。この「五月」とは旧暦の五月。今はゴールデンウィークの頃に田植えをすることが多いですが、昔は田植えもずいぶん遅かった様です。
ジャ〜ン、これが三ヶ月くらい放置した玉味噌。
乾燥して全体に深くひびが入っています。
割ってみると、中まで色とりどりのカビがびっしり。
これを臼で砕いて、「一升に対して四合の塩と水を混ぜて」仕込んで寝かせればできあがり!
なのですが、実はこのカビカビの状態を見て「どう考えてもこれ食えないでしょう」と判断し仕込みを断念しました。
実はこの実験をしたのは去年のことで、見事味噌が出来上がったらこのブログに乗せようと思っていたのですが、失敗したのでお蔵入りしていたところ、、、、、
最近地元の旧家のアトトリの方に聞いたところ、昔はここ栃木の山村でもこの方法で味噌を造っていて、「子どもの頃、縁側に干してあった色とりどりのカビの生えた玉味噌が嫌で避けて歩いていた」というお話を聞きました。
う〜ん、これでよかったのか〜。ダメ元で最後まで仕込んでおけば良かった!と後悔しました。もう一度チャレンジしてみます。
でも、きっと麹を使った方が美味しくて、失敗なく作れるから、この製法は廃れてしまったんでしょうね。
昔の豆味噌をつくってみた | 三依・バ家族通信
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